一緒に歩く

ほろ酔い加減で並んで歩く
この街が大好き

ねぇ　ちょっとだけキスしてよ
なんでおまえは酔っぱらうと大胆になるのかな
笑って軽くキスをかわす

腕に手をかけようとして
ちょっと躊躇ってやっぱりやめる
人前ではけしてできない

やっぱりダメだよね
こんなことしちゃ
聞くまでもない　わかってること
あなたとあたし
誰にも言っちゃいけない間柄

残りのお酒を飲み干して
時計をちょっと見るあなた
いつもはかわいい懐中時計なのに
今日はものすごく憎らしい

ねえ　もういっぱいだけ飲んで行こうよ
言葉を飲み干して立ち上がるあたし
あなたはあの駅で降りて
インテリの奥さんのもとへ帰る
バカな女の元から

時間が止まって
電車も止まって
飲んでもなくならないお酒と
いつまでもあたしの隣のあなた

考えちゃいけない
あたしだけのあなたじゃないんだから
いつかはあたしのもとから羽ばたいていく人

だけどせめて
あたしの隣にいる間だけは
あなたはあたしだけのものそして
あたしはあなた好みの
　バカな女でいるよ

あなたのことしか見えていない
あなたの大好きなバカな女で

知ってるもの
あなた　一緒にいるときにすごく嬉しそう
だから

それだけでいい
あなたの好きなバカな女で
それ以外なにものでなくてもいい
だから　せめて
あたしの前では仕事も忘れて
あなた本来のあなたの姿でそれだけで

駅で二人別れる
さよならもそこそこに
次に逢う約束もしないけど

でもわかってるから
一緒に歩くこの時間だけは
あなたはあたしのものだよね

時間を止めて
あなたを止めて
せめてもう少しだけ一緒にいさせて